不法滞在者に対して特別に滞在を認めるなどということが法務大臣一人で決められるのかという件。結論を言うと、法律上、法務大臣の権限で決められる。
外国人が日本に在留するには在留資格が必要だ(入管法2条の2第1項)。在留資格は法律で定められており、それぞれの在留資格には日本で行える活動が個別に決められている(入管法別表第一、第二)。
在留資格を持たずに日本に在留している者は、出国命令または退去強制の対象になる(入管法24条、24条の3)。
今回の在留特別許可で与えられる在留資格は「定住者」だ。
「定住者」の在留資格に該当する者は入管法で次のように定められている(入管法別表第二)。
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
「定住者」の在留資格に該当する者は入管法で次のように定められている(入管法別表第二)。
この法務大臣の「指定」の基準について、上陸許可(新規入国)の場合は次のような告示があり(入管法7条1項2号括弧書き)、八つの類型が定められている。
定住者告示(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号))
- 第三国滞在難民
- 日系2世
- 日系3世
- 日本人の子として出生した者または1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者
- 日本人または一定の外国人の未成年で未婚の実子
- 日本人または一定の外国人の6歳未満の養子
- 中国在留邦人等と一定のその親族
しかし、告示に適合しない場合でも、少なくとも告示に類型化して列挙された外国人と同視し得るような特別の事情があれば、「定住者」を付与することは可能だ。また、すでに国内にいる外国人に対しては、この告示は適用されない。つまり、法務大臣が指定すれば在留資格「定住者」が決定される。
これを問題視して改めようとするなら、一般的には立法措置(法改正)が必要だ。