学習院大学法務研究科の大橋洋一教授が行政手続の課題について警告を発している。次のとおりだ。
- 行政手続法制定から30年が経過したにもかかわらず、行政手続法への理解は行政実務では極めて不十分である。
- 申請の不受理は既に克服されたと理解されるかもしれないが、現実は異なる。
- 行政手続法制定時に活況であった行政手続にかかる研修も近時では一般に低調である。
- 人物重視の名の下に基本的な法制知識のチェックが公務員試験で軽視される現状がある。
(「申請に対する審査及び応答」行政法研究50号85頁(2023年))
行政内部での研修については存じ上げないが、そのほかは全くそのとおりだと感じる。大橋教授は「油断なく観察していくことが今後も急務である」とまで指摘している。
「観察」の役割を果たすべきなのは誰か。日常的に申請の現場で業務に当たっている行政書士が適任であるに違いない。発破を掛けられた気分だ。
そういえば、阿部泰隆博士は行政書士に向かって、たまには役所とけんかせよと、文字どおり発破を掛けておられた。もちろん、現実にはいろいろと難しいのだが、果たすべき役割は確実に自覚しておきたい。