経験者が語る!
ほとんどの人にとって、事業譲渡は人生における最大級の決断です。次の七つの失敗原因を知ることで、大きな誤りを防いでください。1. 時間の余裕がない
- 選択肢の幅が狭まる。
- 売却価格が低額になってしまう。
- 資金繰りが尽きてしまう。
- 従業員や取引先に迷惑をかけてしまう。
- 譲渡後にトラブルが起こりやすい。
事業譲渡は早すぎても遅すぎても問題です。特に問題なのは時間の余裕がない場合です。
理想的なのは、1年から2年程度の余裕を持って準備を始めることです。これにより、複数の買い手候補と交渉でき、最適な条件を引き出せます。また、従業員や取引先への影響を最小限に抑えられ、スムーズな引継ぎも可能になります。
2. 目的を自覚していない
- 価格だけで決めてしまう。
- 現在の苦労から逃れることだけを考えてしまう。
- 従業員や取引先に迷惑をかけてしまう。
後で後悔しないために、何のために事業を譲渡するのか、一度自問してみましょう。
事業譲渡の目的は、「従業員の雇用を守るため」「取引先との関係を維持するため」「事業を成長させるため」など、「〇〇を〇〇するため」となるでしょう。目的が明確であれば、価格以外の重要な判断基準が生まれ、より良い買い手を選べます。また、従業員や取引先への説明も説得力を持ちます。
3. トップ面談を軽視する
- 信頼関係が築けないまま最終合意してしまう。
- 口の軽い相手が交渉を漏らしてしまう。
- 譲渡後に従業員が次々と離れてしまう。
- 詐欺的な買い手も現れている。
信頼関係を築けないと判断した場合は、迷わず取引を諦め、別の買い手を探しましょう。
トップ面談は、単なる挨拶の場ではありません。相手の経営理念や価値観、人柄を知る重要な機会です。特に、従業員の処遇や事業の将来像について、率直な意見交換ができるかどうかが重要です。面談を重ねることで、お互いの信頼関係も深まります。
4. 買い手企業を調査しない
- 譲渡後の運営体制が不明確のまま譲渡してしまう。
- 財務状況が悪かったり事業実態がなかったりしても、それを把握できない。
- 反社との関わりがあったり、過去にM&Aトラブルを起こしていたりしても、それを把握できない。
信頼関係を築けないと判断した場合は、迷わず取引を諦め、別の買い手を探しましょう。
買い手企業の調査は、インターネットや登記簿の確認だけでは不十分です。実際の事業所を訪問したり、取引先の評判を聞いたり、財務諸表を詳しく分析したりすることが重要です。特に、過去のM&A実績がある場合は、その後の経過も確認しましょう。
5. 情報を社外に漏らす
- 従業員が退職してしまう。
- 取引先を失ってしまう。
- 交渉が破談になってしまう。
情報管理は事業譲渡の成否を左右する重要な要素です。
社内でも、情報を知る人を最小限に絞り、適切なタイミングで段階的に開示することが重要です。特に、従業員への説明は慎重に行い、不安を最小限に抑える必要があります。
6. 契約書の点検をおろそかにする
- 経営者としての地位や従業員の雇用維持がおざなりになる。
- 経営者保証が解除されない。
- 引継ぎに関して、期間や報酬が曖昧になり、不完全になる。
- 譲渡後の条件が不当に厳しい。
契約書は、譲渡後の両者の関係を定める重要な文書です。
特に、表明保証条項、価格調整条項、競業避止条項などは、将来のトラブルを防ぐために慎重な検討が必要です。専門家のチェックを受けることで、見落としを防げます。
7. 信頼できるパートナーがいない
- 価格の妥当性や買い手の信頼性を判断できない。
- 基本合意書や最終契約書が適切かどうか判断できない。
- 心の支えも必要。
事業譲渡では、公認会計士、税理士、弁護士などの専門家のサポートが不可欠です。
特に、M&Aの経験が豊富なアドバイザーは、適切な判断基準を示し、交渉をサポートしてくれます。また、精神的な支えとしても重要な存在となります。