「デジタルノマド」向けの在留資格が新設されることになった。今日2月2日(金)、複数の報道機関が報じた。
報道情報をまとめると、次のとおりだ。
制度
- IT技術を活用して場所に縛られず世界中で仕事をする人たち(「デジタルノマド」)に、半年間の在留資格を与える。
- 「ワーキングホリデー」や「スポーツ選手」などと同じように、法相が指定する「特定活動」にデジタルノマドを加える。
- 配偶者と子の帯同も可能とする。
- 2月3日から国民に広く意見を募るパブリックコメントを行い、今年度(3月中)に制度を始めたい。
要件
- 査証(ビザ)免除で租税条約を結んでいる49カ国・地域の国籍があること
- 年収が1千万円以上
- 民間医療保険に加入
背景
- 理由は、日本にとどまって消費の拡大や革新的な技術の創出に貢献してもらうことである。
- 政府は、昨年6月に閣議決定した政策「新しい資本主義」実行計画の改訂版に、デジタルノマドの誘致を盛り込んでいた。
- 国際的なリモートワーカーを各国が取り込もうとしている。
- 経済団体などから消費活動による経済効果や技術革新が期待できるとして、より長期間、滞在できる制度の整備を求める声が上がっていた。
デジタルノマドについては、次の情報も加えて報じられている。
- 出入国在留管理庁によると、デジタルノマドは、欧米の若者を中心に、世界でおよそ3500万人以上と推計されている。
- 海外の調査では、市場規模は約110兆円に上るとする推計もある。
- デジタルノマドを巡っては、欧州のほか、マレーシアやタイなどで専用ビザを導入し、誘致する動きが広がっている。
そういえば、Notionは、共同創業者のアイバン・ザオ氏とサイモン・ラスト氏の二人が京都滞在中に現在の製品の最初のコードを書いたと伝わっている。この制度で日本に来る人は、数としては多くないと思うが、起爆剤のような何か面白いきっかけになるかもしれない。
実務的には気になる点がいくつかある。
- 在留資格認定証明書の発行が必要になるのだろうが、デジタルノマドに受入れ機関はおそらく存在しない。交付申請は誰が行うのか。本人が海外から行うのか。
- 6か月の在留期間が与えられるということは、在留管理制度の対象となる中長期在留者となり、在留カードが発行されるのだろうが、住所はどうするのか。賃貸物件を6か月だけ、しかも外国人に貸してくれる大家さんがいるとも思えない。ホテルになるのか。
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「デジタルノマド」向け在留資格のパブリックコメントが始まった。
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