報道されていた「デジタルノマド」向け在留資格新設に関するパブリックコメントが始まった。意見提出の期間は2月3日から3月4日までの30日間だ。
パブリックコメントの概要
出入国在留管理庁によると、パブリックコメントの概要は次のようになっている。
改正の対象
次の規則と告示が改正される。
- 特定活動告示(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号))
- 入管法施行規則(出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和56年法務省令第54号))
改正の趣旨・目的
改正の趣旨と目的は、次のとおりとされている。
- 国際的なリモートワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)の受入れを図る。
- 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版(令和5年6月16日閣議決定)」において、「国際的なリモートワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)の呼び込みに向け、ビザ・在留資格など制度面も含めた課題についての把握・検討を行い、本年度内に制度化を行う」とされたことなどを踏まえた。
改正の概要
具体的な改正の内容は、概略次のとおりだ。
在留資格「特定活動」にリモートワーカーのための活動を追加する。配偶者と子も帯同できるようにする。
リーモートワーカーの業務については、次のいずれかの要件に該当することを条件とする。
- (業務1)外国法人の社員が会社の業務を日本でリモートワークにて行う。
- (業務2)海外在住者に対するサービス提供や物品販売を日本でリモートワークにて行う。
- ただし、顧客が日本に入国する必要がある業務は除く。
そのほか、次のいずれにも該当することを必要とする。
- 上陸後1年間の通算の滞在期間が6か月を超えないこと
- (上陸する年の1月1日から12月31日までのいずれかの日において開始し、又は終了する12か月の期間の全てにおいて、日本での滞在期間が6か月を超えないこと)
- 租税条約締約国(地域)で、かつ査証免除国(地域)の国籍者等である。
- 年収が1000万円以上である。
- 日本滞在中に適用できる医療保険に加入している。
また、在留カードが必要な中長期在留者とはしない。
施行日
改正施行規則と告示の交付他人施行日は、次を予定するとしている。
- 公布日:令和6年3月下旬
- 施行日:令和6年3月下旬
実務的な対応など
申請手続
「短期滞在」以外の在留資格で海外から日本に上陸するには、通常、在留資格認定証明書の交付を受けるる必要がある。在留資格認定証明書の交付申請は、日本の地方出入国在留管理局にしなければならない。就労ビザの場合は、雇用する機関がその名義でこれを行うのが一般的だ。
しかし、「デジタルノマド」向け在留資格新設の記事で書いたように、業務1の場合も業務2の場合も、外国人を受け入れる機関が日本国内に無いものと想定される。そうすると、在留資格認定証明書交付申請は本人がしなければならない。これは難度が高い。
ワーキングホリデー制度のように、直接、海外の日本領事館に査証の発給を申請させるのかもしれない。
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